オタクはまだ甘い、「晒されたもの負け」の極限である動画配信自殺

創作活動と「晒されたもの負け」の恐怖。
http://d.hatena.ne.jp/makaronisan/20091127/1259268295

「創作活動と「晒されたもの負け」の恐怖。」勝手に注解
http://d.hatena.ne.jp/y_arim/20091127/1259345495

を見たんだが、これはオタク活動だけじゃなくて、最近話題になった「ニコ生リスカ」とか「スティッカム自殺未遂大怪我(仮)」(「まとめブログ」へのリンクを回避したいため、リンクは載せない)にも通じている問題なので、少し書いておく。

ニコ生、スティッカムPeercastなどでは、こういう炎上のネタを日常的に探している人間が一定数いて、こういう「晒されたもの負け」が自然に起こる場所だ。「それを言ったら創作活動でも晒しは起こってるじゃないか」って反論もあるだろうが、環境と動機の問題から動画配信がいかに救いようのない場所かは容易に理解できる。

創作活動の場所(HP、ブログ、pixivとか)と、動画配信を行う場所の違いを大まかにリストアップすると、

  1. 自発的な視聴者の参加:創作を展示してある場所では、見たくないものは見なければいい。しかし、動画配信でそのとき見ている視聴者は、明らかに何らかの意図で見ているか、見定めている。
  2. リアルタイム性:HPなどに寄せられたコメントは、本人が見たくなければ見なければいい。しかし、動画配信の場合、その人の面前にコメントが置かれる(一概にそうとも言えないが)。
  3. ネタの少なさ:創作活動では、当然作品がないとアップロードはできない。しかし、動画配信の場合は何のネタもない人間も容易に配信を開始でき、しかも女性の場合は何もしなくても人が寄ってくる。
  4. アテンションを得る目的の人間が多い:3に関連して、動画配信は、別段の動機がなくてもアテンション目的だけで利用できる。これはメンヘラの多さを示唆する。
  5. 限定された匿名性:別の配信者が炎上に加担する場合がある。この場合、匿名の人間はその配信者を隠れ蓑にする、つまり「あの配信者が罵倒したからあいつが悪い」と言える。匿名しかない場では、叩かれた側は、匿名の悪意のせいにできるが、このような場合叩かれた側の立場はさらに弱くなる。
  6. 相対的な視聴者の多さ:正確な統計はないが、現在顔を出して動画配信を行っている人間は少ない。このため炎上を求めている人間は監視をしやすい。

このため、動画配信での炎上の問題は、創作のそれより大きい。

  • 創作活動をやっている人間は、創作という芯があるため、それを元手にある程度精神を保つことができる。しかし、動画配信の場合、何の芯もなく、たまたまめぐり合えた配信上のコミュニケーションのみに依存し、さらにそのために動画配信を続ける人間が一定数いる。前者より後者のほうが炎上に脆弱なのは容易に理解できる。
  • 配信者は(無視も含めて)コメントから逃げられない。配信者のそのときの言動の一つ一つが、コメントへの対応としてとられる。怒ったりふさぎこんだりすれば、さらなる炎上のネタになる。さらに、例えばSkypeなどの手段で連絡をされた場合、別の配信者からの連絡に応じるか、無視するかを選択せざるを得ない状況になる。少なくとも、「何も対応しない」ことが強い処方箋になる創作活動よりも精神的に強い負荷がかかる。

私は、特にネタや特徴がない場合、動画配信をやるのは普通の人間では不可能だと思っている。このような事態が、しかも簡単に起こる場所では、その辺を歩いている人間では対応できないだろう。しかも、普通より弱い人間ほど配信を行って、コメント→馬脚の連鎖に陥ってしまう。その結果自殺と言うのは十分に起こりうる。

動画の世界ではこういうことが起こってるんです。ここで挙げた問題は、あくまで相対的に、動画配信の場のほうが創作の場より追い詰められる人が出やすいのではないかということで、創作をしているなら荒らしを気にしないでいいとか、動画配信だけで自殺が起こるという線引きをしているものではありません。ただ、今注目の問題がある意味でつながっていて、どうしようもない世界がネットの一部に形成されているということは、もっと問題になっていいかと思います。

str017 ん、ちょっとまって、何で「晒されたもの負け」の極限=動画配信自殺になるの? 特に前あった「スティッカム自殺未遂」でそれが因果関係があったとホントにいえるの?

前者(ニコ生)に関してはコメントが大きな役割を果たしています。後者に関しては不明瞭な点が多いため、例としてあげるのは軽率だったと思いますが、将来起こらないという確証はないと思います。動画配信でのコメント炎上は、ブログなどに比べて保存されず、人の目に触れられにくいと言う問題があります。実際に見ないと印象はわかりにくいでしょう。