【求人募集】私のために働いてくれる人間を募集します

GIGAZINEが求人のスタイルを変えて何かを生み出そうとしているようだ。

http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100802_gigazine_job/

この求人に俺が惹かれる部分と惹かれない部分があるのだが、具体的に言葉にできない。業界構造とかから明らかな問題はいくつかあるんだけど、それは本質的ではない。なので、自分で求人を書いてみようと思う。この記事は基本的にただの記事なんだけど、一応求人としても扱うので(そうしないメリットがないから)、俺と働きたい、働きたくない、なにかしたいとかあったら連絡をください。

以下求人

俺は事業を意図的に起こすことには興味がない

「俺が」「トップとして」「何か事業をする」という視点で「求人をする」となると、なかなか難しいと思う。事業を起こす理由はいくつかあって、ざっくばらんに列挙すると金、自由、社会変革とかそこら辺だと思う。

まずは金だが、俺は金には興味がない。ネットで面白いものを見つければ金なんていらないし、生活できればそれでいいと思う。何か事業をやって金が手に入ったら、その分だけ俺がもらって他はみんなで分けてくれ。

あと自由なんだが、基本的に俺は人の下で働くのに問題がないようだ。だれかのビジョンに共感したらそれこそ全力で打ち込むし、やるべきことがあったら比較的つまらなくても気がついたら打ち込んでいる。自由に変なことばっかやってるじゃないかと言われても、それは人についていった結果だったりする。だから、トップに立つと自由にやれるぞ的なことには関心がない。

で、あとは「社会変革」だな。「Webサービスで世界を変える!!!!」みたいなことを言ってる人が多くて、大半は失敗するんだけど、そのほとんどはサービスのせいじゃない。基本的にそいつらのサービスは全部面白い。ただ、いろんな人に知られてないから失敗してるだけ。twitterあるじゃん。あれはクソ面白いと思うんだけど、台湾ではぜんぜん使われてなかった。台湾の人損してるなーとは思うものの、俺一人じゃどうにもならないよね。俺が事業をやったとしても、そのおかげで台湾でtwitterが流行して楽しいことにはなるとは限らないし、独自のサービスを作ってもあんま変わんないと思う。だいたい外部環境と、周囲の人間が流行するかどうかを決めると思うので、一企業がワッショイワッショイでどーたらこーたらするのは難しい。あと、「だったら外部環境を分析して、人脈を作って」って考えもあると思うけど、本質的には変わらないと思う。少なくとも俺にはできないと思う。

起こす事業ではなく、起こる事業が好き

でも、俺は現在何かの事業に関わってるし、事業を起こしてるし、起こす可能性もあると思っている。基本的に、利益とか関係なく、あるまとまった集団が、何かひとつのことをしていれば、それは事業と呼んでもいいと思う。そういう定義でないと、現実に即してないし、息苦しいよね。昔から町工場でがんばってて、今環境が変わって死にそうな人たちに「お前らそれ儲かる見込みないから事業じゃないよ」とは言えないし、あとNPOとかその辺のきれいな人たちを排除することにもなる。

例えば破滅ラウンジあるじゃん。俺はあれは事業だと思っていて、黒瀬さんとかも話せば、少しIT系の起業家に近いマインドを持っているフシがある。確かに金は回ってるようなのだが、それを具体的に把握しているわけではないし、破滅ラウンジに関わっている人間はほぼ全員それを意識していない。あと破滅ラウンジがなくても破滅の人間は勝手に破滅するから、「何か一つのミッションを目指して利益を上げていこう」みたいな感じではない。ただ、俺はあれは事業だと思う。破滅ラウンジは面白いし、来た人がけっこう面白いと思ってくれるし、あったほうがいいと思う。多分他の人もけっこうそう思っていると思うので、「まとまった集団が何か一つのことをする」状態は続くだろう。

つまり、事業は場合によっては楽しいし、楽しくて環境が整った事業は続くということだと思う。そういうのってむしろ起こそうとしても起きないし、マネジメントも普通にやったんじゃどんどん腐っていく。あるじゃん。サークルクラッシャーみたいなやつ。でも、そういう自然に起こった事業が俺は好きなんだよね。

事業に関わるなら金のことは考えるべきだと思う

で、ここまで自然発生的な事業がいいという話をしてたんだけど、そういうのって大半、当事者が金を持ち寄って、事実上全損でやってる感覚があると思う。で、よくある批判。「金がなきゃ結局面白いこともできないよね」。俺はこの批判は、半分あってて半分間違ってる程度だと思う。情報革命が一回起こったので、金がなくてもできることは実際に増えている。一方、金がなきゃ手に入らないものもある。それは当たり前。

あと、面白いことをやってるやつらみんなに金がないかというと、必ずしもそうでもないんだわ。飲み屋で酒を飲んで面白いことの話をしてると突然100万単位で金を出すという人が現れたり、あと典型例では動画配信もそうだな。見てる人が面白い配信をクソみたいな環境でやってるのを見て、「金を出すからもっと面白くしようよ」見たいな事は、俺が知ってる限りで2006年くらいからあった。あと、ゲーム配信が面白い人にXBox360とゲームがただで届くとか。最終的に100万超えた人はけっこういるんじゃないかな。100万いかなくても、5万とかでも壊してもいいWebカメラネットブックを買っていろんなところに突撃したり、面白いことができるよね。

まあそんな感じで、金があるのとないのは違うので、金のことは考えたい。

金のことを考えて儲かる仕組みを作ろうとしても無駄

ただ、それがいわゆる「企業の儲け方」とは違うことは明白。企業の儲け方は基本的に2つからなっていて、「金を作る仕組みを作る」ことと「金を作る仕組みがちゃんと動くように管理する」ことからなる。前者は、「何をやって何をやったら誰が金を払う」みたいな具体的なモデルで、後者は、「それをやるために、人をどっかに配置して、ちゃんと言われたことをさせて、外から何ができるか、ちゃんとやってるかを見えるようにして、金がどう流れてるかを見たりする」みたいなこと。ただ、こういうこと自体は面白い場合もあるが本質的につまらないので、さっき出した話題ではほとんどやられていない。

だいたい、それやったところで勝てるわけないじゃん。MBAとって順調に実績を重ねてるやつとか、裸一貫ですさまじい情熱を向けて泥臭いところから全てを作り上げた人間とかがゴロゴロいるんだぜ。そんな中で、俺みたいな人生失敗続きで、毎年別の変なことに首を突っ込んでる人間が、今「金を作る仕組みを作って、ちゃんと管理運営します!!!」なんて言えるわけがない。しかも、こっちは面白くやりたいから、そうなるとさらにダメ。

あと、「平社員でもエンジニアでもみんながビジネスマンとしての知識と意識を持ち、自社で金がどう回ってるかくらいは把握しろ」みたいなことを言う人がいるけど、俺はあまり賛成しない。というのも、生半可な知識では、最終的に全員が同じことを考えて、同じことを言うから。教科書は学べるんだけど、教科書では同じ結論しか出ないし、そこから離れるのには時間がかかる。「デザイン思考」みたいな、みんなで違うことを言うことを促進するメソッドもあるが、多分ビジネスマン意識を持ち出す人はそういうことを考えてるわけではないと思う。隣のやつと同じことを考えるなら別のことを考えたほうが効率がいいし、同じことをみんなが言いまくったら会議がどんどん非効率になる。そういうのは上から提供して、理解できる頭を持つくらいでいいと思う。まあそういうことを言ってるのかもしれないけど。

日本には金がたくさんあるけど、あんまり使われてない

で、今度は、現在儲けている人じゃなくて、すでに儲かった人の話。日本にはいっぱいいるよね。さっき出した、飲み屋で突然面白いことに金を出す人とか、ネット配信を見て金を出す人とかはたいていそのタイプか、金がなくて無理をしてるけどクソ面白いことに関わりたい人間。ベンチャーの人とか、みんな多分そういう人と出会って関わりたいと思ってるよね。

ただ、ベンチャーの人が結構誤解してしまうのが、「儲かった人が何を期待して金を出すか」という点。基本的に「より儲けたい」って話は飲み屋やネットでしないので、だいたい「若いのが育つのを見たい」か、「面白いものを見たい」かその両方だと思う。前者だったら問題ない。金を使って思う存分自分や会社を育てたらいい。問題は後者。ベンチャーの人の場合だと、「人が面白い」か「人が言ってるネタが面白い」から金を出すんだけど、事業が進むにしたがって、「いくら儲かりました!」とか「ユーザーが○×人増えました!」とかそういう話ばかり報告するようになる。はっきり言ってそれもともと面白かったものとは違うよ。そもそも、儲かった人は儲ける話が嫌だから面白いものを見たくて金を出しているのに、儲ける話をしてどうするの。確かに儲けるので忙しいとは思うけど、たまには面白いことをして、金を出した人を面白がらせてあげようよ。

まあそんなこんなで、面白いものを求めている人は、ベンチャーの人も自然発生的なことをしてる人も公平に見て、結構な割合自然発生的な方に金を出す。ベンチャーの人、ごめんなさい。多分面白いものを求めている人とベンチャーの人をもっと会わせれば、割合も変わるんだけど、それはこちらの仕事ではない。むしろ、こっちだって一杯一杯で、どこで何が起こってるかわからないネットの世界で、面白いものを見つけて、そう言う人と会わせるのはさらに難しい。向こうも面白いものを求めてるんだけど、なかなか暇がないし、大変だと思う。実際のところ、金はあってもあんま回ってないんじゃないか。そういうのがどうにかなったら、面白いことになると思う。

ここまでまとめ

その辺のことをまとめると、だいたい何をすることが足りてないかがわかる。一言で言うと、

ネットで起きてる面白いことに、面白いことを求めている人が金を出せる状況

が必要。ただ、これにはかなり泥臭い作業が必要。ネットの膨大なフィードを読まなきゃならないし、飲み屋で飲みまくる必要がある。しかも、それに伴う利益なんてない。せいぜい自分も楽しむくらい。だけど、これはやる必要があるよね。これが俺が考えてる「事業」。他にももっと金になる話とかはあるが、それはこんなブログで話す内容ではない。

まあ、これを明確に事業としてやっていくなら、何らかのシステムを運営する事になるのかなーと思う。例えば、昔からあるのはイベンター。面白いネタを持ってる人が発表する場を作って、毎日面白いことをやりまくる。ロフトプラスワンとか東京カルチャーカルチャーとかを想定してるんだけど、どうなのかな、あれ。揉め事も多いし、金が回ってるという話をあまり聞いたことがない。あとは、マッチングと言えばUGC。面白い事を登録しまくって、金を出したい人が見まくるみたいな感じ。現状でマイクロペイメントとか金くれとかがあるが、それを面白い事と面白い事を求めてる人に特化させるのはどうか。といっても具体案は浮かばないけど。数年前に友人が「面白い人に企業が金を出すサービス」みたいのを考えてた気がする。

おわりに

こんな文章を4000文字も読んでいる暇があったら、金を儲けたり、面白い事をしたり、探した方がいいと思う。だいたい俺と組まなくてもこう言うことはできるでしょ。明らかにスケールメリットなさそうだし。