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Digital archives riding on "Internet"

概要

  • 国会図書館のアイデアソンに行ってきました
  • 昔の文献とかを簡単にソーシャルメディアでシェアできるものを発表しました
  • それって重要で,普通の人が「インターネット」と言った場合,昔はリンクでHTMLがつながっていた範囲を指していたけど,今だとソーシャルメディアと身近にシェアされるサービスの範囲に限られてしまうのではないかという問題があるから.
  • 市民科学とかもシェアを目標としたり雑にできるのが理想
  • 今俺は頭がかたいからここまで

国立国会図書館のウェブページを使い尽くそうアイデアソン~NDLオープンデータ・ワークショップ~ のご案内 | NDLラボ 

 今年の「インターナショナル・オープン・データ・デイ」は東京横浜でかつてない盛り上がりを見せる中,主に対象としていた行政データから離れ国会図書館に行ってきた.行政データもやっていく必要があり,横浜のプレイベントである「税金はどこへ行った?ワークショップ」にも出席したのだが,国会図書館のコレクションについては別腹である.

 なんで私が国会図書館のコレクションに関心を持っているかというと,要は社会に適応できなかった際に気楽に文化に触れて面白いものを読んでいく手段として,近デジを重要視しているからだ.今年30だが未だに社会に適応できている気はしないし,会社に所属しているがいつまで続くかわからないので,ちゃんと盛り上げる必要がある.というモチベーションがあるので,実はオープンデータともこれから図書館情報学でやろうとしていることとも関係がない.

 今回はチームでアイデアを練っていくイベントで,それなりに案を練って持ってきていた.当初案としては,その辺の市民によるインフォーマルな研究,いわば市民科学を近デジなどを使って盛り上げられるようなプラットフォームを考えていた.それは面白いテーマだし,ある意味ハッカソンなどはそれを果たしていると思う.ニコニコ学会については注視しているもののそこまで期待していない.

 チームで議論を重ねるうちに,やはり今普通に使われているインターネット上にうまく溶け込めるようなアーカイブが良いのではないかという方向に展開していった.「チャラいところからスタート」というところから展開していき,発表時には「カジュアル・デジタル・コレクション」と適当に命名した.

 

 他のチームでも,地図を使って協働的に写真にアノテーションをつけたり,レファレンスに感情を反映させたり映画の出演者とキャラのリンクをさせたりと,図書館のデータをさらに拡張していく様々なアイデアが出てきた.恐らく公式で上がるので興味のある方は見るとよいのではないだろうか.

 今回アイデアを練っていくにあたって,いくつか本質的な問題が見え隠れしていた.そのあたりについて多少ざっくばらんに補足をしたい.

「インターネット」とはなにか?

 ここで言う「インターネット」とは技術面ではない.普通の人が「インターネットをする」と言った場合,それは何を意味するのだろうか,という問いである.実際のところこれは割りと奥が深い.最近の議論では


インターネット大好きという感覚がわからないと言われ困惑 - Togetterまとめ

などが挙げられるが,家入さんやえふしんさんなどの世紀末から00年代前半を経験した「老」の世代の間には,「インターネット」に対するある程度共通の理解があったように思える.さらに言えばドワンゴの「ニコニコ宣言」における「仮想世界に生きる」という言葉も,明らかに「ネット」を意識している.

ニコニコ宣言(9)‐ニコニコ動画

正直この議論からは今インターネットとは何かという肝心な部分に踏み入らなかったし(ぶっちゃけ昔話だよね),ニコニコ宣言の文脈も最近の川上さん(昔からの感じもあるが)の発言を見る限りどうもふんわりしている.ある程度背景を押さえて「インターネット」についてまとめておく必要があるだろう.ここでは,インターネットとして主にWebを扱う.

 基本的に,2000年以降のWebは情報収集と閲覧という当初の主目的を離れ,Googleによる広いWeb世界のインデックスによる「検索」と,個人による情報発信が発達したものと言える.その中で,情報過多に溺れないようにRSSフィードソーシャルブックマークなどが産まれ,人をつなげることを志向したSNSが産まれ,twitterに代表されるリアルタイムな情報発信と受信によるコミュニケーションが加速された.これらの流れを単に「情報共有」「コミュニケーションメディア」としてのみ捉えることはあまり適切ではない.ただ,重要なのは様々なサービスとそれによって作られた環境があるということである.

テクノロジーのとしてのWebの理解

 人は,テクノロジーについて語る時往々にしてその「機能」を列挙することで語ろうとする.特に,Webやスマートフォンなどの様々な用途に使えるテクノロジーだとそうだ.例えば「iPhoneで何ができるの」みたいな会話をたまにするが,その際はアプリを列挙することが多いし,「最近Webで面白いのない?」というとサービスを挙げることも多い.「パソコン」をワードとエクセルとWebブラウザだと思っている人も多い.

 これは割りと本質的だと思っている.「インターネットとは?」と聞かれて,自分の使っているサービスの集合体とかんがえるのは,そこまで的の外れたものではないと思う.その上で,Webには特有の問題がある.

リンクからシェアによるサービスのつながりへ

 かつてWebは,HTMLファイル同士がリンクしているものの集合体だった.そこからプログラムによるHTMLの生成が産まれ,HTMLそのものも動的となった.しかし,「リンクする」特性は未だにWebにとって重要だと考えられる.というのも,ソーシャルメディアで「シェアする」ということは,リンクによって行われるためである.

 「シェア」は人と人,コミュニケーションとコミュニケーションをつなげていくだけでなく,サービスとサービスをもつなげる.twitterニコニコ動画やブログのリンクを貼ればtwitterニコニコ動画,ブログはシームレスにつながるし,その点でtwitterから「到達できる」サービスの範囲というものは「シェア」されるサービスの範囲に認知的に絞られる.これは,リンクでつながっている範囲がWebだという当時の発想の現代版である.これを元に深層Webの問題なども存在する.

 現在普通の人がWebを使う際に主に窓口になるのがソーシャルメディアである以上,シェアされないサービスはないも同然になってしまう.だからこそ,シェアされることに特化したバイラルメディアなどがある程度勢力を増やし,まあシェアだけじゃ駄目だよねということは明らかになったが,シェアがサービスの認知のベースになっていることは重要だと考えられる.

 そして,ここからはかなり仮説になるのだが,ソーシャルメディア,そしてそこからシェアされていくコンテンツ,これらは現在の人々にとってのWebあるいは「インターネット」の範囲を決めているのではないか.単にサービスの集合体だけではなく,サービス同士がシェアによってつながっている,その全体をさして「インターネット」と読んでいるのなら,ソーシャルメディアの観点からは合点がいく.

デジタルアーカイブをシェアする

 では,デジタルアーカイブについてはどうか.普段目にする中でデジタルアーカイブがシェアされることはほぼない.デジタルアーカイブは面白い.面白さが無限につまっている.しかし,それをシェアしていくのはなかなか難しい.閲覧インタフェースを介すことになるので,画像や記事をシェアするより敷居が高いのである.

 だから,窓口となるbotや,昔の面白い本の切り抜きなどを普通にWebに貼れる画像として簡単に提供できるAPIを提案した.そうすれば,デジタルアーカイブはシェアされ,ソーシャルメディアの生態系につながることができる.生きるのである.そして,先に言った意味で「インターネット」に乗ることができる.

 デジタルアーカイブは,古いものの集積であるため,ブログ記事などの「今話題のもの」として扱うことが難しい.しかし,今自分が面白いと感じたものをシェアするような方向に持っていければ,いけるのではないか.それはデジタルアーカイブそのものの活用の活性化につながる.

雑な市民科学

 そこで,私が元々持っていたテーマの「市民科学」に戻る.市民科学のアウトプットってなんなんだろうというのを考えている.論文を書きたければちゃんとした科学をやることになるし,論文じゃなかったら科学なの?みたいなアレがある.あと新規性の問題とか.誰にとっての価値や新規性なのか.

 そう考えると,みんなが面白いと思ってシェアしたくなるような,GIGAZINEとかに載っているような雑なものをアウトプットするのはひとつのあり方かもしれない.もちろんそれをやるのにはすごくきっちり研究する必要がある場合もあるし,金がかかる場合もある.しかし,市民の立場で限界が有る中でやっていってそういうトレードオフにぶち当たった時,「これって面白いのかな」みたいな基準で決めたらいいのかもしれない.

 まあいずれにせよオープンになっている研究リソースは増えてきたし,面白いと感じるものを掘っていって,面白いことになったらシェアするみたいな雑な感じって結構良いと思うんだよね.そういう活動を支援する,お互いに情報共有したり学び合ったりするようなプラットフォームも割りと必要だと思っていて,多分使えるのを作るのはなかなか大変だと思うのだが,大変なので後の課題にする.

最後に

 受験直前でアイデアソンに出たら,想像をはるかに超えて頭が固くなっていたので,ほぐすのも兼ねて記事を書いたらこの分量になった.俺は図書館情報学を何年もやっていたわけではないので,個別事項の暗記とかは追いつかない.だから,情報とは,メディアとは何かとかそういった基本概念の部分を固めて,それでいろいろなテーマについて語るという戦略をとっている.それがうまくいくかどうかわからんのだが,まあ頭は凄く固くなる.アイデアソンでは徹夜後に参加して,割と曖昧な中で標準的な受け答えをしていたし,この記事も1時間半くらいで書いたので,受験本番ではもっとフォーマルに1時間1600文字くらいいけると思うのだが,まあ頭が固いのでちょっとほぐしたい.