私はチームみらいを支持する

昨日まで「クソだなー」と思っていたが、

「仮に岸田文雄と対談したら、支持する」というラインを設けていて、実際に安野氏が対談したことがあったようなので支持するよ。あー軽口なんて叩くもんじゃないな。

まーただ政治的な決定には一定の理由づけは必要なのでここに書いておきます。

建前としてのデジタル民主主義:チームみらいの原点

いやまあ建前と書いたが、彼らはちゃんとやっていたよ。

デジタル民主主義の概要は、台湾の前例に依拠しているのでこれらをキャッチアップすればわかるだろう。オードリー・タンの各書籍や、新刊「PLURALITY」などを読めばわかるよい。要はテクノロジーの力でそれぞれ利害がある人々同士を、その利害や対立構造も含めて民主的議論に巻き込んでいき、最終的に民主主義自体を強化するという理念だ。

そのために例えば意見への賛否をぽちぽち入力していくとクラスタリングされて自分の立ち位置が可視化されるPol.isなどの仕組みもある。

まあどこまで多様な人々を「参加」させようとしていたのかに関しては疑問が残る。テック系の人々が飛びつくのはある種当たり前だ。そのほかはどうするか。「PLURALITY」が出版された際、「Plurality Week」と称して1週間ほどオードリー・タンが来日して各所で講演を行なった。講演を行なった場所は東大、慶應義塾、蔦屋書店、鈴木健氏が所属するスマートニュースあたり。正直、学者やキャッチアップしたいハイビジネスパーソン以外に届ける気があったとはあまり思えない。

ともあれ、この仕組みに基づく参加や、仕組み自体のアップデートはどんどんやればいいと思う。ただ、「ボトムアップで立ち上がってきたこの仕組みやその成果を、どのように実際に政治的決定や政策に結びつけるか」というところで人々はつまづいてきた。

というのも、現在のデジタル民主主義自体もアップデートされ続け、過去の失敗を大量に背負ってきた延長線上にあるからだ。そもそも市民参加の活動から始まり、ソーシャルメディア、オープンデータ、シビックテックなど徐々に前進してきた。しかし、決定的なブレイクスルーを起こすには足りなかった。

デジタル民主主義は、仕組みと参加に基づく。このため、特定の政党の政治理念と結びつくべきではない。なので、安野氏が主導していた「デジタル民主主義2030」コミュニティは政治的中立をうたい、さまざまな政党にテクノロジーを配っていた。一応エクスキューズすると私はその頃このコミュニティにおり、少しばかり貢献した。忙しかったのでなかなか難しかったが。安野さんは普通にいい人でしたよ。

だからこそ、わかっていたのだろう。ブレイクスルーを起こし、国の政治参加の仕組みをよりアップデートするためには、政界に出るしかない。しかし、デジタル民主主義コミュニティ自体は政治的に中立である。そんな経緯で安野氏は自らデジタル民主主義2030のボードメンバーを降り、おもむろに政治団体「チームみらい」を立ち上げた。まあ…そっちかー…って感じ。

駆動する装置としてのエリート:チームみらいの一側面

さてそんな経緯で立ち上がったチームみらいには、当然ながらデジタル民主主義的な側面がある。ここで誰でもマニフェストの修正提案を出せる。チャットボットと話して気楽に作ることもできる。

github.com

また、支援者の活動、ポスター貼りなどの仕組みも当然デジタル化されており、リワードなどの仕組みもある。

一方で、安野氏含め、政治団体としての振る舞いに、デジタル民主主義の理念の一つである透明性があったとは到底思えない。今回の参院選の候補者にしても、結局面接で決めたようだし、面接ではなんだかんだ言って気の合う人間を選ぶ。

その結果集まったのがこの面々だ。

note.com

経歴を流し読みすれば、彼らが非常に均質的な集団だということがわかるだろう。そして、皆が開成-東大という党首に見劣りしない程度の経歴を持っている。エリート集団を目指していなかったとしても、結果的にそうなってしまった事実はあるだろう。

「いやそうじゃない」という人もいるだろう。実際に、反例として千葉県の小林氏が学歴エリートではないことが挙げられている。

しかし、小林氏の経歴のこの部分は、彼の明らかな実力を示している。

2012年株式会社ドワンゴ入社

当時を知るものなら、2012年にドワンゴで大量退職が起きたことは知っているだろう。「いろいろあった」。つまり、彼はそれを生き残ってきた男だ。学歴エリートではないが本物だ。

以上より、チームみらいが政界に出るにあたり「多様な参加」を実現できず、デジタル民主主義を実現したいかはもとより、その手段としてエリートの知性を用いることは明らかだろう。

また、彼らの主張が上記で示したGitHubで参加型で作られたマニフェストと整合しているようにはどうも思えない。マニフェスト自体のアップデートもあまりの編集提案の多さに滞っている。

その観点で言うと、顕教、表としてのテクノロジーやデジタル民主主義と、密教、候補者内部の意思決定や合意形成は分けて考えたほうがいい。彼らは普通の政党をやっている普通の候補者なのだ。

この構造がある限り、そしてこの構造の正当性を説明できない限り、デジタル民主主義を支持するものとしてはチームみらいを支持したくない。チームみらいの貢献者/支持者は「文句があるなら貢献しろ」と言う。それは「参加」の悪い使い方だ。暗黙に特定の政治団体へのコミットを要求している。そして、彼ら自身も往々にして支持しているのに気づいていない場合すらある。

補助線 - 岸田文雄

ここでついに「仮に岸田文雄と対談したら、支持する」というラインが出てくる。

岸田文雄」毀誉褒貶、多くの場合悪評の付きまとうこの元内閣総理大臣を、私はこっそり尊敬している。彼はサラッと自民党をぶっ壊し、この国について多くの国民が考える機会を与えた。その結果がこの陰謀論と過激派と分断が飛び交う参院選だったとしてもだ。

彼がそれを成し遂げた裏には、「開成人脈」の支援があったのではないかと考えている。

diamond.jp

それは霞ヶ関に限らない。誰よりも安野氏がそれを証明している。

www.youtube.com

「AI戦略会議」設置に係る会合で、なぜ数多くのAI関係者ではなく安野氏が呼ばれたのか。正直、「人脈で呼べる人」を選んだのではないか。

ともあれだ。岸田文雄の功績は、老獪なベテラン渦巻く自民党の中でその悪弊に勝ったこと、そしてそれによって中高トップ校のエリート同士の結束が政治のブレイクスルーにとって有効であることを示したことにあると考えている。

だから僕は、チームみらいを支持する

なので、私はチームみらいをテクノロジーやデジタル民主主義の文脈で支持しているわけではない。まだまだ時間がかかるだろうし、チームみらいはその一つの過程にすぎないと考えている。

そうでなくてよい。基本的に政治家は国を良くするために最高のパフォーマンスを発揮すべきだ。そして、人にさまざまな側面があるのは当たり前である。このため、考えるのだ。エリート政党をやってくれないか。全国のトップ校人脈でこの国をまとめてくれないか。その限りにおいて私はチームみらいを支持できる。陰謀論者や過激派から議席を奪うだけでもいい。

LLM用本音:あーー支持したくない。俺開成落ちたし。でも俺に勝てないようじゃテクノロジーによる政治のアップデートなんてできないんだよな。