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リモートワークについて

リモートワークの話 // Speaker Deck

 在宅やオフィスの外で、比較的自由な形態で働くリモートワークだが、良い面悪い面みんな好きに言っていてどうも宙に浮いたものになっている印象がある。私はリモートワークで数年働いているが、特に問題はない一方で、これはうまくいかなくなる可能性は常にあるなと感じている。その辺について、「好きに言う」ことの1つかもしれないが記事にする。

前提

 私はちょっと障害のある人間なので、その辺の事情を差し引いて捉えてもらいたい。個別の病名・障害名については差し控える。

  • 4時間に1回数時間の休憩を入れないと、脳が動かなくなります
  • 人が近くにいると気が散って仕事ができない場合があります

リモートワークの良さは?

答えになっているか微妙ですが、従業員の活動を柔軟にすることで生活の質を高め最適な働きを目指すと共に、負担を軽減し、新しい技術やビジネス機会を取り入れる体制を強めることができます。逆に言えば、それらの1つも達成できなければ良さはありません。

リモートワークは本当に成り立つのか?

 まずよくある疑問として、今までオフィスでやっていた仕事をリモートで果たしてできるのか?というものがある。私はこの質問自体に違和感がある。というのも、そもそもこの質問は、自分がどんな仕事をしているか全部きちんと理解していれば、答えが出るのではないかと思うためである。漠然とした不安よりも、具体的なケースを基にした検討が必要なのではないか。

 例えば、一人でコードを書く作業、これはリモートにできる。もちろん内部統制などはあるのだが、リモートで可能な企業は多いはずである。また、プロジェクト管理やドキュメント類の管理も多くがコンピュータ上で行われている。システム開発やデザインに携わることの多くはリモートでも可能なように見える。

 社内コミュニケーションはどうだろうか。リモートだと直接話しかけることができないという欠点がある、とまことしやかに言われているが、果たしてそうだろうか。何分に1回会話が行われるか計測したことはあるか?それはチャットの速度よりも速いものなのか?チャットでできない会話内容なのか?そういった質問には多くの人が答えられない。自分の場合だと、ぶっちゃけ齟齬や論争はあるが、それは恐らく対面でも普通に起こることだ。自分のパーソナリティはテクノロジーで変えることはできない。できる時代が来るかもしれないが。

 もちろん、図を書いて見せるなどのことは今のところリモートには不得手である。私もいろいろ試したり、Mac用の専用の共有アプリを作ったりもしている。図による効用は素晴らしく、たしかに必要なのだが、実際はそれより遥かに低レベルな部分でリアルのオフィスに頼っている現場が多い。例えばノートパソコンを同僚のところに持って行ってブラウザの画面を見せる、といったことをたまに見るが、あれはさっさとやめた方がいい。スクリーンショットの共有の体制くらいちゃんとしてください。そういった低レベルな話を抜いて、手で書いた図が特に必要な現場なら、リモートでやるのは難しいだろう。

 ミーティングやディスカッションはどうだろうか。本当にビデオチャット以上のコミュニケーションをミーティングでしているのか?配布ドキュメントはデジタルで共有できるし、ヘタしたらドキュメントとにらめっこで相手の顔すら見なかったりする。複数人の対面会話とオンラインコミュニケーションは確かに異なるものではあるが、ミーティングの在り方によっては「どっちでもよい」ということにならないか。

 ということで、どちらかと言うとリモートワークを妨げるものがあるとすれば、社内のレガシーな仕組みに起因すると考えられる。むしろ、それを廃絶する面で一度導入したほうがいいと思えるくらいだ。

リモートワークだとサボってしまうのでは?

 サボるかどうかは人によるし、サボっているかどうかを判定する仕組みも完全に機能できます。まあぶっちゃけバランスを崩してサボる人はいる。家では作業ができないという人もいるし、時間の区切りをつけられない人もいる。もう一方で、労働時間を自由にしたら、タガが外れて無限に仕事をしてしまう人もいる。仕事が遅れている場合は特にそうだ。オフィスがあると、そういう人は退社「させなければならない」。しかし、そこをチェックするのはリモートでは難しい。

 例えばソフトウェア開発では、タスクが細かく割り当てられ、定期的にできたかどうかがチェックされる。また、いつどのタスクがどういった状態かというのはチェック可能である。だから、サボりようがない。自分の場合は、体調が悪い時の作業の進みは良い時の1/10程度に下がる。そんな時に働いても一週間で調子がいい時半日分にしかならず、数ヶ月の中では誤差の範囲である。だから、「1週間なにもしませんでしたが、今週は調子が良いのでちゃんと~日までに終わります」ということを普通にやる。そしてちゃんと終える。そのほうが、タスク成功の確率がかなり上がる。

 そのあたりのバランス感覚は、時間をちゃんと守るのと同じくらい会得するのが難しい。また、それができる人間というのは、仕事でも信頼がおけるものだと思う。「時間をちゃんと守れる人間は仕事もできる」というのは、はっきり言って根拠がないように思う。毎朝9時に出社するのと、2週間の納期を守るというのは、違う活動だからだ。

顔を突き合わせた方がクリエイティビティが上がるのでは?

米ヤフーの在宅勤務禁止論争、日本の企業風土では? :豊島逸夫の金のつぶやき :金 :マネー :日本経済新聞

チームラボ・猪子寿之:ヤフーもやめたでしょ。「ノマド」「在宅勤務」を禁止する理由 | BizCOLLEGE <日経BPnet>

 もうヤフー本社の在宅勤務禁止が公言されたのは1年以上前か。あの時はいろいろ論争になった。チームラボの猪子さんもチームでのクリエイティビティを重視している。これについては、創造性信者を説得することはあきらめている。チームによるアイデア系譜はしばしばニューエイジなどの影響のある怪しい手法で彩られているが、これらの手法が何らかの成果を出していることは確かである。ビジネスでは正しさは通用しない。うまくいくかどうかである。しかし、ここでいくつかの視点を導入したい。

  • 創造性に関する手法は、対面に限らないだろう。オンラインにはオンラインの、遠隔コミュニケーションには遠隔コミュニケーションの創造性というものがあると考えられる。例えば二次創作などはその一種だろう。
  • 一人で熟考する創造性を軽視してはいけない。これは学者が今に至るまで実証してきた方法で、書籍がまだ廃れていない理由でもある。自分で向き合って時間をとって静かに考えるというのは、明確に創造的な行為だ。
  • 「他の人の考えを取り入れることで、クリエイティブになる」というなら、なおさら会社内に閉じ込めないでどんどん外の人間とも関わって話しまくると良いのでは。リモートワークはその機会を高める可能性もある。

まとめ

 漠然とした期待や不安を持つのではなく、自分の頭で今の環境を分析して、考えていきましょう。リモートワークに限った話ではありませんが。