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「単純に考えればいいのに」について

 悩んでいる人や,物事を難しく考える人に対して,「単純に考えればいいのに」という言葉をかける人がいる.自己啓発本にも「シンプル」を推したものが多い.

 正直,これはとても不快というか,言う人と言われる人のバックボーンの違いを考慮していないなあと思う.

 情報の観点では,そりゃこの世の中のことをできるだけ考慮したら,莫大なトレードオフと不確実性が生まれて不安になる.単純に少ない情報で物事を判断し,行動できた方が良いに決まっている.しかし,それはそれで物事が解決できればの話だ.世の中はちゃんと考えてやらないと解決できない問題であふれており,そういう問題であること自体もちゃんと考えないとわからない場合がある.そういう時に物事を単純に考えて,突っ込んでいっても失敗するだけだし,単純に考えて解決できない問題だとわかった場合,それでも単純に考えるのは馬鹿としか言い様がない.「単純に考えればいいのに」でうまくいくのは,簡単な問題しかやってこなかったからで,難しい問題に触れなくても生きていける環境だからだ.まずはそういう環境に感謝すべき.

 もしくは,既に考えなくてもできるくらい物事に習熟している場合,単純に考えても複雑なことができる.コミュニケーションはその典型で,異性と何も考えずに話せるのは経験のたまものである.俺は,異性と2人になったときに単純に考えると,単純に何もしゃべれなくなる.家事とかもそれにあたる.また,マニュアルやルーチンワークを叩きこまれたらその範囲では何も考えずに済む.

 といったところで,単純に考えられて済むのはそれなりの経緯や状況があるからで,難しく考えているのもそれなりの経緯や状況があると思う.それは,単純にわかりますよね.ではよろしくどうぞ.