ニート株式会社について

ニート株式会社の取締役だけど質問ある?

を見て率直に感じたことを書いておく.

そもそも何で案件やってるのさ

 ニートを集めて会社を作ろうってなると,まあやっぱり普通に働けない人の集まりだし,新しい働き方なりアウトプットなりが生まれてくるのかな,と期待するわけよ.そこでなんか普通のフリーランスの集まりが案件を受ける,みたいな感じだと,ちょっとしょぼいなと思ってしまう.フリーランスは大変だし,「普通に働く」ことにカテゴライズされると思う.

 例えばフリーターとかブラック企業で働いていた人にとって,フリー案件は「やって見る価値はある」.実際それが向いてて何年もやっている人もいるんだけど,そうでない場合も多い.なんかどうも「ニート株式会社」でやるようなことではないと思うんだよな.

ゆるい組織作りとリスク・マネジメント重要

 まあ,こんな感じで旗揚げするといろいろな人々が来ると思う.それは記事の中にも書かれている.で,まあ既存の会社に縛られない自由な働き方というのもわかる.しかし,「無組織」ではだめで,例えばミーティングに常に遅刻したり,突然ぶち切れたりする人間を,それを許さない案件のミーティングに出す,というのは失敗するに決まっていて理解に苦しむ.その人はミーティングに出ないで,誰か一人がミーティングに参加してその結果を社内でいろいろ交渉するみたいな,組織とは言えないけどチーム体制というか役割分担は必要なのでは.

 もしくは,「弊社ミーティングの時間守らない人多いですよ」みたいな感じで事前に先方に合意をとっておいて,リスクを減らすといった方策が必要だと考えられる.実際それで合意を取れたら,非常にスムーズに進む.また,メンバーが潰れて失敗してしまうみたいな件についても,契約レベルでどうにかできることもあるし,社内で円滑に情報共有ができていれば,他の人で解決できる人はいるかもしれない.

 キッチリ組織を作るみたいなことには,この会社は向いていないと思う.しかし,そういった簡単なところから始めて,既存組織の良い所を,自社にとって窮屈で不快にならないように,自由なあり方を維持できる程度に取り入れて行くというのは重要だと思う.

教育がキモになるかも

 どうも,「何もできない〜」ってなってる人が突然案件にぶち込まれたり,新規プロジェクトを考えるみたいなところに問題があると思う.そりゃできない人ができないことをやったらできないに決まっている.

 NEETって言葉の意味に戻ると「Not in Education, Employment or Training」である.つまり,人によってはEducationやTrainingをやる必要がある場合がある.そして,そのきっかけとしてニート株式会社にいることが役に立つかもしれない.例えば社内のコミュニケーションで,「俺がこんなことを学べば,こういうことで役に立つかもしれない」みたいなものを発見できる可能性がある.

 そしたら学べばいい.本を読んだり読書会をやるのもよし,MOOCsなどで海外の高等教育を学ぶもよし,少々金があるなら放送大学などの大学通信教育もいいだろう.金がなくて親にタカるにしても,「ニート株式会社でこういうことをやってて,これを学びたいんだ」と説明すれば大分説得力が増す.この辺普通の企業なら社員研修とかを外注したりするんだが,その実情はウググググアア〜〜

 現状,ニート株式会社では確固たる収益がないらしい.だとしたら,「稼働時間が減るから,教育に時間を割けない」ということには,良い意味で縛られない.貢献できてない奴はどんどん学べばいい.いきなりアウトプットを求められても大変なだけだ.「俺はこれを学んだ,だからこういうことに貢献できる」とか「俺はこれを学んだ,だから新しいプロジェクトを提案する」とかのほうが,非常に良いのではないか.そりゃ学んだだけでは金にはならない.だけど,何もないよりはマシだ.

とにかく人が集まっていることがいい

 やっぱり,何をするにしても一人って厳しいのさ.フリーランスの仕事は通常人づてで回ってくるため,人間関係がないと難しいし,その固有のリスクもある.また,学ぶにしても人に伝えたりつなげたりアウトプットする機会がないとモチベーションが保てない.そういう状況を打破するために人はつながるのだ.ニート株式会社の良さはそこにあると個人的に思う.

頑張ってください.