人との関わりを再構築する年

2021年,この年が容易でない年であることは2014年の段階でわかっていた。

だから,どうしても年越しを祝う気にはなれない。

2013年から14年にかけて,非常に内向的な性格になった。

  • 叔父の借金の肩代わりをする可能性,そのために稼ぐ
  • 叔父の家の崩壊
  • 唯一の肉親と言える祖母の介護と別離

 これらをおよそ1年かけてやったところ,人との関わり方がわからなくなった。時間的余裕はあった(いや,転院期限など文字通り致命的な時間のなさはあった)。しかし私の置かれた状況を理解してくれる人がおらず,社会から切り離された感覚が残ってしまったのだ。それは今も残っている。

 普通なら少しずつ人との関わりや日常を取り戻していけばよかったが,そうはいかない。1年で皆が1年分進んでしまった。特に30前後はキャリア形成や結婚などが多い。その事実を受け入れることができなかった。しかも生きる理由もない。博士課程に入学した1つの理由は,「人と関わらないで自分のペースで進めていける確かな目標」がないと気が狂うと思ったからだ。

 思った以上に周りに恵まれていたと思う。働きながらでは人文系の博士号は取れないとわかって入学した私が,まだ研究を進められているのは,大学院で出会った皆様のおかげである。「人と関わらない」ということを実現するために,多くの人が助けてくれたのだ。

 その博士課程があと3ヶ月で終わる。これからは何をするにも文化の違う人と関わらないとできない。2014年に残してきた課題に直面しなければならない時期になったのだ。1つ良い点を挙げれば,一族をめぐるあの地獄の1年間は過去のものになりつつある。しかし,それと同時に人と楽しく関われていた歳月もより過去のものになった。

 人と関わって前に進んでいく。その難しいことを始めた矢先にCOVID-19が襲った。確かに昨年は誰もが感染している状況ではなかった。しかし,様々な感染症対策の要請は,信頼を確保する安直な手段である対面会話を奪い,チャットによる不信と不確実性が渦巻くコミュニケーションに放り込まれることになった。また,立て直す途中だった外食に頼る生活は,2度の時短要請によって崩壊した。一度仕事を失った際に発症した鬱病は良くならない。

 その中で進めていくしかない。そういう段階に来てしまったし,COVID-19も来てしまったからだ。死ぬ方が予定調和でご都合主義だ。そんな生ぬるい人生を運命は許してくれないだろう。もがいて,苦しんで,生きるしかない。

あれだ,行動に移さなければならない。今言えることがある。

今年もよろしくお願いいたします。