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「わずか6問で成人期ADHD患者を発見」について

medical-tribune.co.jp

論文を入手し、当該部分を訳しました。意訳です。医師が使うための基準なので、医師でない方が自分の参考にするのは悪くないと思いますが、他人に対して運用すると良くない結果を招くと思います。また、私は医師ではなく、この基準に責任を持つ立場ではないので、心当たりのある方は医師にご相談ください。

追記:質問文の原文がこちらで紹介されています。論文本文の方はこちら

 

以下の質問に、「全然ない」「稀に」「ときどき」「しばしば」「とてもよくある」でお答えください。「全然ない」を0点として、「稀に」以上を、「とてもよくある」を質問の最後の得点とした形で割って点数を出してください。


1.誰かがあなたに何かを話しかけているとき、直接あなたに話しかけているときであっても、集中するのに困難を感じてしまうことはどれだけ頻繁にありますか。(5点)
2.ずっと座っていることを期待されている会議などで、どれくらい頻繁に席を立ちますか。(5点)
3.自分の時間があるときに、くつろいだりリラックスすることに困難を感じることは、どれだけ頻繁にありますか。(5点)
4.会話中、どれだけ頻繁に人が喋っている際に割り込んでしまいますか。(2点)
5.直前まで物事を先送りしてしまうことがどれくらい頻繁にありますか。(4点)
6.日常生活に必要なきめ細かにやらなければならないことについて、どれだけ頻繁に他の人の助けを借りていますか。(3点)


14点以上はADHDの疑いがあります。

 

Appendix

そもそもこの基準って何なの?なんでこの6つなの?わけわかんないんだけど?について。

その通りで、なおかつDSM-5における診断基準と驚くほど合致するという変な基準です。

そもそも、精神科における精神疾患の診断は、症状も様々で医師の主観なども関わる曖昧なものでした。それは長年問題になっており、とりあえず診断基準だけは統一することで、治療のガイドラインを設けたり、学会などで意思疎通ができることを目指しました。

その手段として使われるものが「操作的診断基準」です。つまり、「この病気はこういうものであるから、この人はこの疾患だ」というのではなく、「この診断基準に当てはまるから、この人はこの疾患だ」ということを第一の基準にする、診断の方法をもって疾患を定義する方法です。精神科医が用いる標準マニュアルDSMは、この考え方を基本に構成されています。もちろん、この方法に問題点はあるのですが、とりあえずの糸口として有効だということです。

しかし、ADHDなどは少なくとも診断面では流行している障害で、DSMを毎回厳格に適用していたらきりがないため、簡単ですぐに結果が出てそこそこDSMと比較して精度も出るASRSというものができました。それをアップデートしようというのが今回の趣旨です。

DSMでは多くの診断基準がありますが、「この項目が当てはまる人はまずこれも当てはまる」といったものが見られます。DSMには疾患を定義する側面があるため、恐らくそういった冗長性を認めています。しかし、例えば簡単なチェックリストを作る場合は重複しそうな項目は不要です。それを排除するために本研究ではコンピュータによる自動での判断、具体的には機械学習による判別を用いました。その結果、「なぜかはわからないが」この6つが残り、しかも充分な精度が出ました。

なので、ある意味でわけがわからないのは当然で、ちゃんと疾患について理解するのとは全く別の目的で作られたテクニカルなものだということは留意すべきだと思います。

例えば医者ロボみたいなものにこのチェックリストが実装されていたとして、医者ロボはADHDのスクリーニングはできるかもしれませんが、それがADHDを理解していることを意味しているかというと、私はそうは思いません。これは近年の人工知能一般にいえます。