地獄に落ちる夢を見た

 目が覚めたら家が占拠されていて,俺が今まで不義理をしたり,うまくケアできなかった人間が怒っていた.亡くなった方々も生き返って怒っていた.「お前はいろいろな人に迷惑をかけて何もできなかったじゃないか」と言われ続けた.すでにいろいろその後の算段はされているようで,1日22時間の強制労働をさせられるらしい.俺は地獄に運ばれていった.

 地獄では,金持ち7人が7つの宝物を出品するオークション会場を設営することになった.完成予想図を見たら教会建築的なものを作るようだが,資材が長机とパイプ椅子と黒板とチョークしかなく,それで全部やっていくことになった.納期も絶望的だった.「こんなものできませんよ」というと,マネージャー(イギリス人)が「やってくれないと困るんですネー,ほら,みんな見ているでしょう」と返され,気がついたら屈強な外国人がこちらを取り囲んでいた.結局作業はすることになった.「みんな」もいて,「みんな」は道半ばにして敗れて田舎に去っていった人とか,なんかパッとしないまま曖昧に界隈から消えてしまった人が多かった.

 何だかんだ言っていろいろ甘かったので抜けだして調べたところ,この現場を仕切っている黒幕が明らかになった.小学校・中学校では不良だったが,暴力的な組織でそれなりの地位を得て幸せに生き,天国に行った人々である.俺はふざけんじゃねえと言いながら奴らに詰め寄り,戦いを挑んだが負けた.

 戻ってきたら,俺が戦ったことを知った「みんな」は積極的に支援はしなかったものの,曖昧にサボタージュをしていた.その雰囲気の中まあ一応オークションはできるかな程度の会場はできていたが,マネージャーや屈強な外国人達は渋い顔をしていた.俺は新しいタスクを振られた.黒板に名前と金額を書く作業で,裏地は完全な白でないといけない.チョークで完全な白を作るために俺が頑張っていたら,その姿をみた「みんな」の一人が「地獄とはいえこんなひどい現場は嫌だ,みんなで相談したところ逃げ出すから」と連絡をくれた.

 俺は先陣を切ることになった.監視の目をすり抜けるような計画を立て,決められた集合場所へとみんな逃げ出すことができた.そこでしばらくだるくなっていたが,俺はどうも納得がいかず天国に行った不良を呼びつけて戦いを挑んだ.不良は3mある長物を持っており,「お前さっき負けたじゃん,もういいだろ」と言っていたが俺は「あれは仕事の中での話だ,俺とお前の中ではまだ決着がついてねえ」と叫びながら不良に突っ込んで行った.

 不良は俺の直前で長物を振り下ろすのを止め,「ハハハ,それだけ筋通せれば地獄になんか行く必要ないよ,後で仲直りも兼ねて渋谷のクラブに行こう」と言った.俺は意気投合し,「みんな」も引き連れてクラブに向かうことにした.集合場所が有料の公園だったらしく,全員分の入場料4000円は俺が払った.そして90年代後半のトランスが流れるクラブに俺たちは吸い込まれていった...