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意思決定についての雑感

企業などの組織で活動をする際、意思決定、つまり相反する方針の中から1つを選ぶということを様々な人間が行う。それはマネジメントを行う人々だけでなく、末端に近い人間でも小さいレベルの決定を行うため、誰がやることになってもおかしくはない。

近年は、特にベンチャーなどにおいては、迅速さと柔軟さが求められる。迅速であるというのは、意思決定に時間をとられないということであり、柔軟であることは、意思決定の機会を増やすことになるので、この2つは対立する。しかし、迅速さは評価の指標になるが、柔軟さは評価されない。いろいろな案が出てきて検討した、ということは最終的な成果物に反映されないためだ。また、同じ時間に複数の案を同時に進めるということはリソースの関係で難しいので(これは検討の必要がある)、どうしても決定はせざるを得ない。このため、迅速さと柔軟さを両立させるには、柔軟さを「守る」必要があると考える。

とりあえず、柔軟さが損なわれるパターンをいくつか列挙する。

  • 本来調査や議論が必要な事柄に対して、時間がないという理由で「議論が必要ない」方を選ぶ:時間とのトレードオフであることをちゃんと明記しない限り、それは「怠慢」である
  • 意思決定自体を曖昧にする:Aと決定したのにそれがうまく伝わっていない場合がある。例えばある事項や成果に対する承認など。
  • 裁量に任せるはずが実は任せない:決定が下せない場合、担当者に一任するということがよくある。しかし、担当者には完全に全てを行える権限があるとは限らない。担当者の実務は、組織やステークホルダーの状況によって制約される。多くの場合、制約を与える人が勝つので全く「一任」ではない。
  • 対案がなかったことになる:例えば、後で問題などが起きた際に、「なぜこのような決定をしたのか?」という議論になる場合が多い。しかし、その際には、「なぜこの案を選ばなかったのか?」という、同じ場で行われたことは、検討されないことが多い。

これらは、柔軟な対案を出すことを無意味にし、危機にさらす。また、対案も組織の活動の一つで、その成果をちゃんと扱わないのは無駄である。これを避けるためには、決定者がちゃんと決定という職務を行うということと、決定の過程を記録することが重要であると考える。時間がないなら、「何を検討、決定しなかったか」をちゃんと明確にする必要がある。

  • 対案を記録する。どのような考えであっても、即座に排除されたとしても、ちゃんと記録すべきである。
  • 選ばれなかった対案に対して、理由を明記する。理由がなかった場合は理由がないことを明記する。
  • 選ばれた案のスコープを決め、限定的な拘束力を与える。これは、単に拘束するのではなく、次のミーティングなどの際に再議論の余地を与えるためである。
  • 決定した案に対して再議論の余地を与える。
  • 対案を共有する。ある決定が別の場所でされる場合もあるので、参考にすることで役立てる。紙に書いてゴミ箱に入れて保存するのが良いのではないか。